悉皆屋の事業において、最も大切なのは「見立て」です。
着 物の仕立てや染め直し、メンテナンスなどすべての工程は、この「見立て」に よって成否が決まると言っても過言ではありません。
ー古い白生地の無地染めについて
古い白生地の無地染めにはトラブルが発生する要素が多く、慎重な対応が求められます。悉皆屋としての私たちは、着物の手入れや仕立替え、行出し、行詰め、袖丈詰め、無地染め、柄染めなどを行います。
最近持ち込まれる白生地は、30〜40年前に織られたものが多く、今まで加工されなかったのには理由があります。短尺、幅狭、シミや汚れ、サビ糸、深折れ、縮みなどの問題があります。これらを確認せずに無地染めを行うと、トラブルが発生することがあります。
例えば、短尺の生地を染める場合は、お客様の希望する寸法に仕上げるための和裁の知識が必要です。幅狭の白生地では、希望通りの出来上がりが難しいこともあります。そのため、お客様には丁寧な説明を行い、必要に応じて伝票に記入していただくことがあります。
古い物を再生し、期待に応えるためには、長年の経験と着物全般の知識が求められます。
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